何がしたいかわからない時に読み書きするもの

人生って何、自分は何がしたいんだっけ、あれ、仕事って何のためにするんだっけ、って思った時に読み書きする文章

「千鳥の相席食堂」で、拡がることのジレンマを知る

千鳥の相席食堂が好きで好きで。そもそも千鳥さんが好きなのだが。この番組が、とりわけ好きである。俳優さんや芸人さん、いろいろな芸能人の方が、一人(二人の時もまれにある)で各地のロケに出かけ、地元の人と相席していくVTRに、千鳥がスタジオでツッコミまくる、という番組である。

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千鳥の相席食堂

ボケたりしない、素朴というか天然な感じの芸能人の人がロケに出て、「ちょっと待てぃ」的な瞬間が出てくると、千鳥さんが「ちょっと待てぃ」ボタンを押して、VTRを止めてくれる。そしてスタジオで、笑いを膨らましてくれる。その感じがとても、面白いのである。(個人的にはTRFのDJ、KOOさんが、大悟さんの地元に行った回がとても好き)

前に、Prime会員が切れそうになった時に、相席食堂の新しい回がプライムビデオにアップされていて。Amazonの戦略か知らないけれど、まんまと更新してしまったくらいである。

chikaochiai.hatenablog.com

それで、その相席食堂。2018年1月から最初は日曜の25分枠で、放送を開始。その後、2019年の4月から、火曜の1時間枠、ナイトinナイトと呼ばれる、ABCテレビではバラエティの冠的?な時間にうつっている。

要は、番組の人気も出て、出世したのである。喜ばしいことだし、番組時間が延びることも、普通にファンとして考えると、とても嬉しいことだ。

ところが。

60分枠になってから、明らかに、何かが変わった。と、感じている。最近ちょっと盛り返した感もあるけれど。

第一に、後半の枠に、元々のロケではない、若手芸人による企画が入る回がある。これが、とてもつまらない。面白い時もあるけれど、結構つまらない。なぜこういう仕立てになってしまうのか、わからない。。。芸人を育てる枠なのか??下品で粗暴な時もあり、菊池桃子さんがロケに行ったりしている回の面白さ・ほのぼのさとは、雲泥の差がある。相席食堂、素朴で、人を傷つけない感じのところが、とても面白かったのに、、、コンセプトがぶれてしまっているとしか、言いようがない。

第二に、ロケに行く芸能人が変わった。気がする。実際はそこまで変わっていないのかもしれないけれど。竹中直人さんとか、正直あまり面白くなかった(し、ロケ自体が短い)。なんかこう、相席食堂は、出てくる芸能人も、具志堅さんとか、長州力さんとか、普段ロケに行かない方の魅力が存分に発揮される、コアな感じがして、好きだったのである。

この変化で思ったこと。

小さく、インディーズで売れているときに美しく見えたものが、メインストリームになると、その美しさが消えるということは、やはりよく起きるということ。拡がることによる、悲しさである。

それにはたぶん、拡がっていく時に、より色々な人が関わるようになり、それまでのクリエイターの人たちの想いが希釈されることが起きるから。色々、利害とかが出てくるのではないかなと。

TV番組でも映画でも、特に多くの人が関わらないとできない作品は、拡がっていくほど、その希釈リスクも高い。でも、より多くの人に届けるためには、拡がっていかないといけない。そこに常に、本当に伝えたかったことが薄まるという、ジレンマが生じてくるのだろうなと思った。

千鳥の相席食堂で、制作側の切ない想いと、拡がっていくときのジレンマを、なんだか感じたのである。これからも、千鳥の相席食堂のコアとして感じていた輝きときらめきを、いつまでも維持していってほしいと、一ファンとして、願うのである。