何がしたいかわからない時に読み書きするもの

人生って何、自分は何がしたいんだっけ、あれ、仕事って何のためにするんだっけ、って思った時に読み書きする文章

日本企業で(特に子どものいる)女性が働きづらい理由について

私は産前入院をしていた。そして、病院で出産日の3日前までパソコンで仕事をしていた。その時は、あーこんな時まで仕事して、お腹の赤ちゃんによくないのかも。出産したらゆっくり仕事のやり方考えよう、と思った。

けど、結果仕事はやっぱりしたくて、あと、やむを得ない状況もあって、産後6週間とちょっとで復帰した。私の場合は、自分が経営側だったこどあって、仕事しないと、ということもそうだけど、逆に言えば柔軟に働けるということだったのだと思う。そして、ここで重要なのは、私が色々悩んでも、最終的には「自分で心から求めるものを選択できる」状況にあったことだと思う。

私はよく、日本企業で(特に子どものいる)女性が長く働きづらい理由について考える。これは、新卒で働き始めたときからずっとだ。年代を問わずして多くの女性が感じていることだと思うし、未だに多くの20代~40代にとって、ロールモデルがなかなか身近にいない状況だと思う。

なぜ、日本(企業)で女性が働きづらいのか。私が特に根本的な原因と思うのは、
①「働く=長時間・長期間労働可能な人」という考え
②「子育てはお母さん主体」という慣習
③男性女性関係なく、自分の想いより、周りにどう思われるかを重視する慣習
である。

ここからは、私のフランス企業、日本企業共に働いた経験から考えてみたいと思う。

一つ目の点。私が新卒で働いた会社はフランス外資だった。4年近く働いたが、その会社は、女性、子どものいる女性にとって、働きやすい文化があったと言える。3人子どもがいようが、ばりばり働いている女性は多く、男性も、子どもがいると、コアタイムなどを利用して16時半にすぱっと帰ったりする。そもそも、子どもがいてもいなくても、誰も残業しない。18時過ぎると、「帰りなさいよ~」、と周りに声掛けされる。働き方に余裕がある。フランス本社に出張しても、普段いる日本支社でも文化は同じで、基本的には(若干日本の方が労働時間が長い人は多いかもしれないけれど)みんな残業しないし、男性女性問わず、育休をとる。コアタイムも普通に利用していて、暇な日は本当に15時半に帰ったりしても、誰も、何も、言わないのである。早く帰ることがカッコよかったぐらいかもしれない。別に働く人、仕事ができる人は、長時間働こうが何だろうが、だれもそんなこと気にしていなくて、要はきちんと仕事を行っていれば、だれも文句は言わないのである。寧ろ、帰宅が遅いのに、パフォーマンスが不十分だと、この人、何をやっているんだろう?人生の喜びを無駄にしてまで、もったいないよ。だったら帰って人生を豊かにした方が良いよ、くらいの感覚だった。ライフはワークで占められているのではなく、ライフはライフなのである。こんな感じが私の働き方の「土台」になったので、その後日本企業に転職した時は、その長時間労働に驚きを隠せなかった。日本企業では往々にして、みんな帰りづらい、早く帰るとまずいんじゃないかと、帰宅のFirst Penguinになることを、みなが嫌がっている雰囲気がある。なんとなく、育休を取るということそのものが、みんなの迷惑になるのではないかという気がして、権利行使をしづらいというか、それ自体がわがままのように捉えられるのではないか、とびくびくしているところがあると思う。期間でも時間でも「長く働いていない」人は、仕事をしていない人、という風に思われることを気にする文化が根強くあるのだと思う。文化だけでなく、それが人事評価に結び付いてしまうこともある。驚いたのは、男性が育休を取ったら、復帰後”たまたま”、遠方の部署に異動になった、という逸話。そんな”たまたま”エピソードをきいたら、その後男性が育休の権利があっても、誰も取りにいかないと思う。人々の”暗黙の”パフォーマンスの指標を、変えていく必要がある。ワークの世界で皆が同調圧力をかけるので、それぞれのライフに、焦点が当たらない。これは、苦しいと思う。長時間労働が悪いわけではない。長時間働きたい人は働く、長時間働きたくない/働けない人は働かなくてよい、という選択ができることが重要なのだ。

もう一つは、子どもがいる人の課題になるが、日本では圧倒的に「子育て=お母さんの仕事」という認識がいまだに強いことだ。保育園の見学に行っても、乳児検診に行っても、周りはみんな、お母さん。もちろん体の回復があるので、産後休暇は必要で、その中で両親の行ける方が行く、という形なのだろうけれど、産後休暇を過ぎても、1歳でも、2歳でも、子どもが大きくなっても、なんとなく、お母さんの方が常に、子育ての主軸、という風に思われているのである。翻ってフランス(企業)では、全然そんな感じがない。もちろんお母さんが生物学的に産むので、お母さんが面倒を見る時間が長い時期もあるけれど、例えば、普通にお父さんが1年育休をとったり、とにかくイーブンなのである。そして、イーブンになるために、ナニーさんを使うことを、別にいとわないし、誰も、悪いと言わない。これは、子育ての考え方とも関係するから、やはり何がいい悪いではないけれど、こういった選択肢を知った上で、子どもと一緒にいたい、とか、やはり働きたい、とか、うまく選べるようになることが、大切だと思う。今の日本では、本当は働きたいけれど、子どもを預けられないので自分が面倒を見る、とか、本当は息抜きしたいけれど、そんなことは"だめ"だから、しない、というような、自分の心からの選択ではない選択に甘んじなければならない状況があることが問題なのだ。

○○だから××してはいけない、という幻想にがんじがらめになって、自分が心から欲しいと思うを選択肢を取れずにいる。これは、女性だけの問題ではない。男性も、同じだと思う。たとえ、今日から、仕事の評価に、暗黙にも、労働時間や育休取得の有無などは、入れません!短時間労働でも、関係ありません!という声明を出しても、すぐにそういう選択をするのは難しいということだと思う。そんなルールがあっても、、、周りになんか自分勝手なやつ、て思われるし、、、のような形だ。

長くなったが、個々人の考え方が変わっていくにはまだ時間がかかるので、仕組みで、暗黙にも長時間労働をしないようにしていくこと、それから男女問わず、何より「ライフとは何か」にまず一度、重点を当てるように、一人ひとりが考えることがとても大切だと思う。お父さんが家のことに興味がない・居場所がない⇒仕事を理由にしたがる・より長時間労働をする⇒お母さんは仕事がしたくても子どもの面倒を見るために早く家に帰らざるを得ない、のようなことはよくある。お父さんも子どもとの時間をあえて持つようにしてみる、そのために長時間労働しなくても評価される、別の軸で評価する企業がきちんとあること、その方が企業の持続可能性があることを示すこと、色々できることはある。私も、一企業に関わる人間として、子どものいる母親として、一つ一つのポイントに、きちんと取り組みをしていきたい。